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獅子目貫 レプリカ制作

獅子目貫 レプリカ制作

獅子目貫 (ししめぬき)をご存知でしょうか?

目貫 (めぬき)」とは、刀の柄(つか)に埋め込まれる小さな金具のことで、装飾としての美しさだけでなく、滑り止めの役割も果たしている、日本刀を構成する大切なパーツのひとつです。

福井県福井市にある 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 に展示されている 獅子目貫 は、獅子の姿を精巧に表現した純金製の目貫で、戦国大名・朝倉氏ゆかりの品とされ、その優れた造形と保存状態から、国の 重要文化財 に指定されている貴重な品です。

獅子目貫 レプリカ制作。一乗谷朝倉氏遺跡での展示風景。非常に精巧な彫り跡が見られます。

一乗谷朝倉氏遺跡での 獅子目貫 の展示風景

現代の技術でよみがえる、精巧なレプリカ

今回はクライアントである造形作家の S MODEL WORKS 様からご依頼いただき、その 獅子目貫 をお土産の目玉商品として販売するための 3Dデータ作成 で関わらせていただきました。
実物は重要文化財であり、手で触れることも持ち上げることもできません。そのため非接触式の 3Dスキャン のデータと、複数の角度から撮影された写真資料だけを頼りに、16世紀に彫られた彫金師のノミの跡や刃物の質感まで、1つ1つ丁寧に再現しました。

約3センチほどの小さな造形物ですが、その中に込められた技術やたてがみを表現した美意識は驚くほど豊か。
作られた16世紀頃には、満足な道具もルーペも無いような時代です。失敗したら溶かしてもう一度最初からやり直しという、とてつもない手間を掛けながら彫られたであろうことが想像できます。
そんな歴史と芸術が詰まったこの小さな「獅子」を、ぜひ間近でご覧いただけたら幸いです。

獅子目貫 レプリカ制作。完成品には金箔も貼り、本物の 獅子目貫 さながらです。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。 3Dスキャン したデータは欠落した個所も多く、これをベースに彫り込んでいきます。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。 3Dスキャン したデータをそのまま 3Dプリント したもの。全長もおよそ3cmと小さな細工物です。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。写真に彫り跡の溝のラインを書き込んだ画像を Blender 上で重ね合わせます。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。際立たせたいラインの位置を確認しながら、 3Dデータ とのずれを合わせていきます。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。彫り初めのころ。アタリをつけている状態です。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。彫り進みましたが, 3Dプリントする段階で角がダレてしまう事を考慮し、よりくっきりした溝へ彫り混んでいきます。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。完成時のデータ。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。完成データをそのまま 3Dプリント したもの。売られている商品は、こちらを型取りして複製したものに金箔を貼り合わせています。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。金箔を貼ってみると意外と溝の再現が甘かったことも分かり、何度も作り直しを行っています。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。完成品。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。完成品。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。完成品。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。ケースに収めて販売中です。
  • 獅子目貫 レプリカ制作。ケースに収めて販売中です。

この小さな 獅子目貫 は、 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の開館2周年を記念して2024年10月1日に発売されました。(今もミュージアムショップで販売されています)
博物館にお立ち寄りの際は、ぜひお土産コーナーもチェックしてみてください。

一乗谷朝倉氏遺跡博物館 には、他にも様々な出土品が並んでいます。
是非お立ち寄りください!

  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 に展示されている品々。目貫にも色んな種類があることが分かります。
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の展示。刀や目貫について。
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の展示。刀を構成するパーツについて。
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の展示。 火縄銃 も出土し、展示されています。
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の展示。様々な装飾品も。
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 の展示。出土した焼き物など。ウーン、造形したい...
  • 一乗谷朝倉氏遺跡博物館 外観。山間ののどかな地に朝倉氏遺跡は広がっています。



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