【 3D 】 シロアリの3Dデータ作成 について
企業様ではなく個人の方からのご依頼を受けて、 シロアリの3Dデータ作成 に携わりました。
3Dプリントの費用を抑えつつシロアリの姿に近づけるためには、小さく作る必要があるのですが、最薄部で約2mmの厚みを持たせなければ、造型不具合が起こる可能性が高くなるという制約もあり、最薄部で約2mmをキープしつつ、なるべく小さくかつシロアリに見えるように注意しながら進めた案件です。
当初ご依頼いただいた内容は、シロアリの中でも「 兵蟻 」と「 職蟻 」の、大きさ違いも含めて計3種類の 3Dデータ を作成して欲しいというもので、シリコンの様な柔らかい素材で造型したいというご要望も含めて、お聞きしていました。
そこで、シリコンやゴムライク素材での造型時には、一般的には最薄部厚みで約2mmほど持たせた方が造型トラブルが少ない点や、その際に最薄部2mmの足や触覚にするには、プロポーションを変更しなければシロアリに見えないであろう点などを、お見積りと同時にお伝えしご検討いただいていたのですが、他の業者ではあまり良い返事をいただけなかったとの事で、弊社へのご依頼が決定しました。
- 用途は個展へ出品するためのものである事。
- 3Dプリンターでの出力を検討していて、数は約200体(?!)ほど制作したい事。
もお聞きし、「200体?!(それはプチ量産レベルでは…ドドドドーシヨ…)」となったのは良い思い出ですが、3Dプリンターで200体造型した場合と、3Dデータを元に簡易型を作り、200体注型して作った場合の費用を急いで概算で比べた結果、やはり当初の3Dプリンターが納期やコスト面で落ち着きそうかと判断しました(※後述)。
ただし造型コストを抑えるためには、造形物の体積を少なくする必要があるのですが、最薄部厚みで約2mm持たせた方が良いという造型上の都合や、体積を小さくするとシロアリと分かりづらくなる点も考慮しながらスケッチし、弊社で使用している3DCAD Rhinoceros でモデリングへ。
スケッチした画像データを配置し、一部 スカラプティング も使用しながらモデリングしていきます。
兵蟻・職蟻合わせて200体作るのに、同じ形ばかりではもったいないと判断し、後で形を変えやすいように、触覚・頭部・胸部・腹部・足等のパーツに分けた状態でベースとなる一体をモデリング。
パーツごとにケージ変形やフロー変形、回転させながら5体のバリエーションを作成。
職蟻も同様に、ベースとなる一体をモデリング。
こちらもパーツごとに変形させ、5体のバリエーション+サイズ違いの計10体を作成。
肝心の3Dプリンターでの出力は、ナイロン粉末焼結造型の場合はだいぶお安くできるのですが、今回はシロアリらしさを出したいとの事で、ゴムライク造型を行う事になり、ちょっと裏技も駆使しつつ、なるべくお安く造型できるように 3Dデータ を作成・納品致しました。
クライアントである 木山恵莉様と個展 KHEPRI ケプリ 木山恵莉 写真展 については、ブログ「シロアリの 3Dデータ作成 と、お客様の個展開催のご案内について」のページにも記載しているので、併せてご覧ください。
個展は2016年3月1日(火)~6日(日)まで、京都市東山区のKUNST ARZTにて開催されます。宜しければ是非足をお運びいただけますと幸いです。
今回のご依頼では、「丁寧な印象を受けた御社に発注させて頂ければ」と仰って頂けたことが、とても嬉しかったことの1つです。
納期や費用だけでなく、起こり得る色んな問題を予想し、その解決法も併せてご提案できるようにいつも心掛けているのですが、それは今後も続けていこうと思います。
最後に、作成したシロアリ君たち一覧を。
上記の画像は Rhinoceros でモデリングした3Dデータを Blender へ読み込み、レンダリングしています。
Blenderでのテクスチャーペイントに初挑戦したのですが、なかなか面白く、なかなか難しい。。。もっと練習しなければ!
マテリアルの設定で、シロアリの体表だけでなく人肌もそうですが、うっすら表面から内部に光が侵入し、内部の光が滲み出てくるような SSS(サブサーフェス・スキャッタリング) という設定方法でもレンダリングしたかったのですが、なかなか上手く行かず今回は断念…。Blenderは本当に奥が深いアプリケーションです。
200体作るとなると、簡易型で注型した方が安くなる場合が多いのですが、シロアリの形状は足を別パーツにして型から抜けるようにしたり、バリの処理に手間取る事が予想されたりで、今回の3Dプリンターでの出力に比べると納期も費用も厳しい事が見積もり検討時に分かりました。
3Dプリンターでの造型は、200個作る場合に1個当たりの単価はそれほど安くならない(スケールメリットがない)のですが、今回の場合は形状が複雑な点や、モノが小さい事もあり、結果的には3Dプリンターでの出力で良かったのだと思っています。中国ならもっと安く作れるのかも知れませんが…(もっと良い方法があれば、是非教えて頂きたいです…)
ご質問いただいたので。
粘土をコネコネするようなスカルプトや、ポリゴンメッシュを貼り合わせたりしながら造型するポリゴン・モデリングではなく、今回はRhinocerosを使用したサーフェスモデリングで、シロアリの3Dデータ作成を行いました。
理由は使い慣れているという所も勿論ありますが、3Dプリンターでの造型費用を抑えるためには体積を小さくしつつ、造型不良を少なくするためには最薄厚み2mmは切らないように調整する必要があり、寸法制御を行いながらモデリングする場合にはRhinocerosはとても適していると思います。
体表の細かくリアルな凹凸を表現するには、スカルプトがとても適しているのですが、シロアリの小さい形状を3Dプリントすると、細かい凹凸は見えなくなってしまいますので。
そうした理由もあり、今回はRhinocerosでモデリングしています。
【虫注意】その後、シロアリたちは…【虫注意】
2016年3月1日から個展が無事に開催され、モデリングしたシロアリ達はこのような作品へと姿を変えていたそうです。
『 人体脊髄模型 』(引用元:KUNST ARZT様)
脊髄に群がる沢山のシロアリ達…
ゴムライクで造型されておりそのままだと真っ白なのですが、少し茶色味を帯びるように着色され、リアルなシロアリに変貌しています。
当初予定の200体を超えて合計300体ほど3Dプリントされたとの事で、造型のお値段も相当掛かっているかと思いますが、それでもやり切ってしまうアーティスト 木山恵莉さんの馬力(パワー)が凄いです。
シロアリのゴムライク造型を行いました(2021年8月)
こちらのページをご覧いただいた沖縄在住の方から、3Dプリントのご依頼を頂きました。
著作権のあるものですので、クライアントの木山様へ許諾をいただき(ありがとうございます)、ゴムライク造型にて3Dプリント・納品いたしました。
娘は軽く悲鳴を上げていましたが、プニプニした触感も相まってキモカワイイ仕上がりです。
▼サンプル(画像をクリックすると拡大表示します)
こうしたご依頼に今後も丁寧にお応えしていきますので、何かご相談が御座いましたらお気軽にどうぞ!
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